ケニア最大の稲作地帯ムエア(Mwea)での活動①

KiliMOL代表の大山です。

先週は丸一週間Mweaで活動しました。日本の小型中古農機のアフリカへの輸出を促進するため、事業パートナーの唐沢農機サービスとともにまずはケニア、その中でも首都ナイロビ(Nairobi)から100kmほどにあるケニア最大の稲作地帯Mweaにフォーカスして、営業・販売活動に取り組んでいます。今回はMweaの概要、及び先週のMweaでの活動について書かせていただきます。

1.Mweaとは
Mweaはナイロビから北へ2時間ほどのところにある、ケニア最大の稲作地帯です。最高峰であるケニア山(標高5199m)の南麓に位置し、標高約1000mで、朝晩は20℃、昼間は30℃強の気温です。Mweaの灌漑スキームはMwea Irrigation Scheme(MIS)と呼ばれ、ケニア最大のタナ川(Tana River)の支流シバ川(Thiba River)の水資源を活用した灌漑設備が整備されており、広さは約9,000ha(東京ドーム約1,900個分)、ケニアの米生産量の約6割を生産しています。1980年代から日本政府が無償資金協力、技術協力を開始し、その後も有償資金協力を通じて、現地の稲作関係機関と共に多くの日本人も現地で活動し灌漑稲作の普及、発展に貢献してきました。コロナ禍前までは海外協力隊の方々も多くいらっしゃいました。アフリカでの日本の農業振興面での貢献の大きな成功例の1つとなっており、コロナ禍前はアフリカ各国からの視察も多かったようです。ケニアでは、西部のビクトリア湖周辺でも稲作の灌漑設備の整備が進んでいますが、Mweaをお手本にして「Mweaに続け」という思いでプロジェクトが進められているようです。
池上彰さんも2013年頃にMweaをご訪問され、いつも通りわかりやすいご説明をしてくださっていますのでご興味のある方は以下もご参照ください。
https://www.jica.go.jp/aboutoda/2013_African_business/vol3/step4_p1.html

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2.これまでの活動
昨年(2021年)、出張で現地入りしてMweaでデモンストレーションを2回実施しました。3月にはトラクターとコンバインハーベスター、9月には田植え機、小型精米機を実演しました。その様子については以下のYouTube動画をご覧ください。

① 2021年3月のデモンストレーション

② 2021年9月のデモンストレーション

現在は、まったく機械化が進んでおらず人集めや作業コスト上昇など現地で課題を多く抱えている田植えの機械化が最も現地に貢献できると考え、重点的に営業活動を行っています。


3.本スキームとOUT GROWERS
MISには本スキームのエリアとOUT GROWERSという本スキーム外のエリアの2つがあります。割合は8:2くらいのイメージです(詳細地図はこちらをご参照)。今回は、KiliMOLのケニア人スタッフが信頼関係を築いてきた、主にOUT GROWERSのエリアで活動するICOSEEDという地域コミュニティNGO(local community based NGO)を訪問し、今後の協業について話し合いました。

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また、今回ICOSEEDからの紹介で賃耕を開始しました。現地では欧米メーカーの大型トラクターによるディスクプラウを使った作業がメインで、ロータリーを使った作業はあまり行われていません。まずは農家の方々に日本の小型の中古農機が十分に活躍できること、稲作の生産性向上に繋がることをしっかり見せていく必要があると考えています。ロータリーをかけている様子を見ていた農地オーナーの女性に感想を聞いた時に見せてくれた笑顔は最高でした。こうやって少しずつ日本の小型農機の有用性が広まっていくと信じています。


4.トラックがハマった。

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日本は田舎でも多くの道が舗装されていますが、ケニアでは田舎は舗装されている道の方が珍しいです。今回、トラックで農機を輸送中に段差でハマり動かなくなりました。このトラックは積み下ろしをしやすいようにアウトリガー(アームを伸ばしたり物を吊ったりする際に、車体横に張り出して接地させることで車体を安定させる装置)がついていて、前の方をリフトアップできるようになっているのですが、その分後ろ部分に足が2本ついています。それが段差で引っかかってしまい後輪が浮いてしまって動かなくなってしまったのです。最後はアウトリガーを使って車体をさらに持ち上げて、積んでいた梯子を下に敷いてトラックをその上に降ろし車高を上げて脱出成功。車高の高い大きなトラックを使えばよいではないかというのもあるのですが、そうすると、農機のトラックへの積み下ろしが大変になります。大変なだけでなく積み下ろし時の危険性も増します。なので安全面重視でこのトラックを使っていきたいと思っています。とはいえ、ケニアでは作業場所へのアクセスも大きな問題です。これについてはしっかりとルールを定めて作業を請け負う前にスクリーニングをかける必要があると痛感しました。

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久しぶりのフィールドワークで様々なトラブルはありましたが、多くの学びのある1週間となりました。この経験すべてを今後の活動に生かしていきます。

最後におまけの一枚。バナナの木が滑り台になっています。自然があれば人工の遊具なんていりませんね👍

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来週もMweaで活動してきます。

ColumnMwea

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